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家族ががんになった子どもを支える:治療について

治療について話す

治療計画について早い時点で話す場合にも、後になって話す場合にも、重要なことはお子さんにいつも状況を知らせることです。治療はおそらく家族の毎日の生活に多くの変化をもたらすので、お子さんが心配したり混乱したときには何でも質問するようにお子さんを促してください。治療計画についてお子さんに伝えるためのヒントをここにいくつか示します。

お子さんの日課に変化が生じる場合には、それを伝えましょう。

親の治療について話す時、多くの子どもはそれが自分にとってどのような意味を持つようになるのかを知りたがります。ママが入院するなら、だれが学校に連れていってくれるのか、だれが夕飯を作るのか、だれが放課後の活動に連れていってくれるのかを知りたがります。このような心配はあなたにとっても重要なことだとお子さんに伝えましょう。まだ子どもの世話をしてくれる人たち(親戚、隣人、友人)がはっきりしない場合でも、そのことについてきちんと考えていて、決まったらちゃんと知らせる、とお子さんに伝えましょう。

治療で生じるかもしれない副作用についてお子さんに心の準備をさせましょう。

親が副作用を経験するのを見ていると、子供たちは動揺することがあります。化学療法などの薬は、脱毛や体重減少、発疹や吐き気などを引き起こすことがあります。副作用は治療によるものであり、病気のせいではないことを前もって知っていれば、子どもたちはこれから起こるであろうことに備えることができます。低学年のお子さんなら、髪が抜けるなどこれから起こるかもしれない変化をクレヨンを使って簡単に描いてみてもいいかもしれません。 そうすることで、治療で変化が起きることをより具体的にお子さんに理解してもらうことができます。

ほとんどの場合、副作用についてお子さんに細部まで説明する必要はありません。たとえば、次のように伝えるとよいでしょう。「がんを治すために、ママはとても強いお薬を使わなければならないの。それで髪が抜けるかもしれないし、気分が悪くなるかもしれないけど、それは強いお薬のせいで、がんのせいではないの。」また、放射線療法を受ける際には次のように言えるでしょう。「ママはこれから受ける治療でとても疲れるかもしれない。おうちに帰って、たくさんお休みしなければならないの」、あるいは「ママはあなたと遊びたくても遊べないときがあるかもしれないけど、あなたのことはとても大切に思っているのよ」などです。

副作用の出方には個人差があるので、どのような副作用が起きるかはっきりとはわからないことをお子さんに伝えましょう。ただし、あなたや、お子さんの生活にかかわるあなた以外の大切な人物(父親か母親、近親者、家族の友人)が変化に備えて助けてくれることも伝えて、お子さんを安心させてください。このような安心感や支えがあることで、大変なときにもあなたがいつもお子さんを大事に思い気遣っていることが伝わります。

治療中もお子さんがあなたとのつながりを持ち続けられるようにしてあげましょう。

お子さんがあなたのがんに対処するための1つの方法は、子どもたちがあなたとの繋がりを感じられるように手助けすることです。たとえば、これから入院するときに病室に飾る絵をお子さんが描いたり、カードを送るというのはいかがでしょう。できるならば、あなたも絵を描いたりお子さん宛ての短めの手紙を家に送りたいと思うかもしれません。そうすることで、身体は離れていても関わりを持ち続けることができるようになります。

家でお子さんとのつながりを保つことも重要ですが、それまであなたにできていたことをするのが難しくなるかもしれません。たとえば、よちよち歩きの子や幼い子を抱き上げたり、抱っこして動くことが、がんとその治療のためにできなくなるかもしれません。お子さんはそのことを寂しく思って、近くに寄ってくるかもしれません。座った状態で抱き合ったり、床やソファ、ベッドの上に子どもと一緒に横になったりすることで、親と目線の高さが近くなり、安心感を得ることができます。お子さんと一緒にテレビを見たり、学校の出来事を話したり、何気ないことでも一体感を得られます。

お子さんがあなたの力になりたいけれど何をしたらいいかわからないということもあるでしょう。水を持ってくる、毛布をもう一枚持ってくるといった簡単な手伝いをさせることでお子さんはつながりを感じられます。10代の子でしたら、皿洗いや芝刈りなど、家のもっと大きな仕事を引き受ける事ができます。だからといって、子どもや10代の子どもに請求書の支払いなどの大人の責任を負うことをさせてはいけません。ただ、具体的な仕事をすることで、子どもたちは自分が役に立っていることを感じることができます。

お手伝いに感謝しているけれど、どんな時にもしてほしいと思っているわけではないことをお子さんに伝えましょう。それは子どもの仕事ではありません。子どもの仕事とは、学校に行ったり、宿題をしたり、友達に会ったり、スポーツをしたり、楽しい時間を過ごすことです。自分(または家族の誰か)ががんになったとしても、それが家族のすべてではないことをお子さんに伝えましょう。がんがどんな変化をもたらしても、家族として築いてきた基盤は決して変わることはないということを伝え、できる限りの方法で、あなたの愛を示してあげましょう。

※この資料は、米国CancerCare(キャンサーケア)Inc. の資料を許可を得て日本語に訳したものです(Copyright 2008) www.cancercare.org(英語のみ)をご覧下さい。

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