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2025.11.23

小学校教職員の支援の実態に関する英語論文1本を「研究成果」のページへ掲載しました

Hope Treeメンバーが責任著者として執筆の英語論文を「研究成果」ページへ掲載しましたので、お知らせいたします。

論文名「Elementary school teachers’ support for children with a parent who has cancer in Japan」(がんになった親をもつ児童に対する秋田市の小学校教職員の支援の実態)

責任著者:赤川 祐子(秋田大学大学院 医学系研究科 保健学専攻 看護学講座)
掲載ジャーナル:Journal of Health Sciences       
受理日:2025年5月、公開日:2025年9月30日
掲載サイト:https://www.jhsci.ba/ojs/index.php/jhsci/article/view/2812

【和文抄録】

<背景>
親ががんと診断された場合、子どもが受ける心理的・社会的影響は大きい。教員はこうした子どもへの支援において重要な役割を担うが、日本における学校ベースの支援に関する研究は限られている。
本研究の目的は、がんになった親をもつ子どもに対する小学校教諭の認識、理解、支援の実態を明らかにすることである。

<方法>
秋田市において横断的調査を実施した。小学校教諭の背景情報は、性別、年齢、子育て状況、教職経験年数、がん体験・死別経験の有無であった。教諭は支援経験の有無を回答し、認識、知識、不安に関する質問項目に回答した。また、支援経験のある教員には、最も印象に残っている事例について記述を求めた。

<結果>
500件の回答のうち、459件を分析対象とした。そのうち270名(54.0%)の教諭が支援経験を有していた。支援経験は、女性であること、子どもをもつこと、個人的または家族のがん経験があることと有意に関連していた。支援経験のある教諭は、認識、知識、不安のいずれも高い傾向を示した。印象に残る事例としては、親が新たにがんと診断された子どもとの初期関わりが多く挙げられた。支援内容には、子どもの行動観察や感情表出を促す関わりなどが含まれていた。

<結論>

秋田市の教職員の支援経験は54.0%であり、児童に対する支援の認識は高いが、がんに関連した知識が十分ではないことにより支援への不安や困難を抱えていた。
支援の有無に関連する要因は、教諭経験年数がより長いこと、教諭、自身や家族のがん経験やがんによる死別体験があることであった。支援の認識・知識・不安では、得点が高いほど関連が強かった。教職員は、児童から相談を受けた後、児童の様子や変化を観察していた。
以上より、今後の教職員への介入として、がんに関連した知識や支援方法の普及、教職員間連携の発展、教職員のつらさや困難事例への対処が重要である。