がんになった親と子どものために

くまとやまねこ

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〈作者・訳者〉
湯本香樹実 ぶん
酒井駒子 え
〈出版社・値段〉
河出書房新社 1,300円(税別)
〈対象年齢〉
おとな

突然、最愛の友だちのことりを亡くしてしまった、くま。
ずっとずっといっしょだと思っていたのに・・・。
森の動物たちは決まってこう言うのです。
「ことりはもうかえってこないんだ。わすれなくちゃ。」。
くまは、じぶんの家の中に閉じこもってしまいました。
ある日、ひさしぶりに窓をあけると、外の空気の心地よさ。
誘われたように外に出てみました。
そして、やまねこと出会います。やまねこはくまとことりのためにバイオリンを弾いてくれて・・・。

大切なひとが亡くなってしまうという絶望感。
そんなことの後でも過ぎていく時間。
自然の中で感じる穏やかな癒し。
理解してくれる人との出会い。
大切な人とのつながりは心の中にずっとあること。
そしてやがて新しい日々に生きていくこと。
それらがモノトーンの絵でやさしく描かれています。

愛する人が亡くなって、暗闇の中で動く気力もない人。
やがて少しずつ、生きてゆくことができるようになってきたけれど、時々暗闇に戻ってしまう人。
そのような人びとに、少ない文字とやさしい絵で、「分かるよ」と語りかけているような一冊。
そしていつかまた楽しみを感じることが出来るようになることを感じさせてくれるような絵本です。

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